トラウトアンドキング

フィッシングツアー専門旅行会社

スタッフ遠征報告 2023年

国内 ボーンフィッシュ 探釣

2023年10月2日(月)〜6日(金) 5日間


釣り人:H.I.T. FILMS 岡野氏
場所:鹿児島県徳之島
釣果:ボーンフィッシュ・オニヒラアジ・テンジクアジ

 私は海外でのソルトフライの経験はない。それでも幼少期に見た故・西山徹さんのクリスマス島でのボーンフィッシュの映像は、鮮明に頭の中に残っている。
 この春、トラウトアンドキングの夷谷さんが国内でボーンフィッシュキャッチの情報を受けて、居ても立ってもいられなくなった。夷谷さんは得意とされるディープフライの釣りで、見事にボーンフィッシュを射止められた。多くの皆さんは、ボーンフィッシュのフライフィッシングとして“サイトフィッシング”を志向されると思う。しかし全く実績のないところから新たな釣りを生み出すには、ときに“型”から積極的に脱することも必要であり、言葉を変えれば“なり振り構わず”魚と向き合うことが必要だと私は思う。数年後、サイトフィッシングが当たり前になっているかもしれない。しかしそれは、この夷谷さんのチャレンジがあってこそ。私も後に続きたい。

 頭の片隅に「ボーンフィッシュ」をおきながら、これまで国内の各離島をめぐる旅をしてきたが、トレバリーのボイルやクロダイのテイリングを前に釣り人の性を抑えられなかった。
 7月に夷谷さんと共に、徳之島へと向かった。しかしこの時は「温い」と感じるほどの海水温、そして最悪の風向きと台風に直面し、ボーンフィッシュの手がかりを掴むことはできなかった。しかし“開拓”において無駄な旅は存在しない。島内をめぐり、地形や海の様子を肌で感じる、そして地元の人に(釣り人以外にも)話を聞く。その結果、この島にはボーンフィッシュ(標準和名はソトイワシ)は少なくない数生息する。そう感じた。

 10月に再び仲間を募り、徳之島へ向かうことにした。そしてこの旅では、先述の夷谷さん同様“なりふり構わない”ことを胸に置いていた。イソメを持ち込み、堤防からのちょい投げでボーンフィッシュを探す。そして隣接する砂浜からフライのキャスティングで届くエリアまで投点を変えて反応を見ることで、ボーンフィッシュの回遊ルートを掴み、のちのブラインドの釣りを“見える化”すること。
 その作戦は驚くほど短時間で達成された。お弁当を食べながら、わずか15投で5匹のボーンフィッシュのヒットがあった。最後の一投は砂浜の波打ち際から30メートルほど。そしてそこの水深は目測で2〜3メートル。明らかにフライで探れる位置に、ボーンフィッシュの回遊ルートを見つけた。

 翌日から、徹底的にそのエリアで待ち伏せしようと考えた。
 しかし南の島あるあるの強風が吹き荒れ、台風によるうねりが砂浜を直撃。挙句、猛烈な豪雨によりどちゃ濁りの海となってしまった。砂浜の地形は変わりやすい。せっかく見つけた回遊ルートに影響がないことを祈りつつ、天候の回復を待った。

 ちょい投げで生息を確認した砂浜に隣接するフラット。ここもサンドバーが多く点在し、ボーンの回遊に期待できそうだ。アウトリーフが比較的発達し、先に穏やかな状況になっていたため、ブラインドで探ってみる。時折トレバリーがヒット。頭の片隅に“ボーン”がいるため、ヒットのたびにドキドキする。こんな素晴しいトレバリーでちょっとがっかりしたのは、初めての経験。ちなみにこの島は、トレバリーの魚影が濃い。オニヒラアジがメインだが、60センチほどのボラを岸際に狩にくる、フライでは恐ろしいサイズのカスミアジの姿も見かけた。さらには、立ちこむ足元に群れる3匹のボーンフィッシュの姿を見た。

 そして迎えた滞在4日目の10月5日。
 下げ止まりから、上げの頭を狙えそうなタイミングで件の砂浜に立ち込めるチャンスが訪れた。イソメのちょい投げで掴んだ回遊ルートに、広角にフライを打ち込んでいく。数投後、ムニュっとした感触から、グングンッと首振り。しばしファイトを楽しんで上がってきたのは、トレバリー。ボーンでなかったのは少しがっかりだったが、いつか釣りたかったテンジクアジ。
 その後もひたすらにキャスト&リトリーブを続け、潮止まりを過ぎ、上げに転じる時間が訪れた。流れの変化を感じようと、ラインのテンションに集中する。すると潮が時々ヨレながら、大きな岩の横を通過する離岸流のような流れを見つけた。時々入ってくるウネリに打ち消されるが、背後の河川の流れもあってか、再現性のある流れだった。ラインにいかにも釣れそうなテンションがかかる流れ。リトリーブするラインがわずかに左にスイングする途中、ギュンギュンッと鋭いバイト。次の瞬間、猛烈にひったくられラインハンドでアワセをくれた。ボーンか?

 海外のフラットでの映像を見るに、ボーンは沖に一直線に走っているが、この魚はそう言った挙動は示さない。しかしツッコミのスピードと角度を変えるキレはトレバリーと明らかに違う。バレてもいいから姿を見たい。やり取りの途中、少々強引に魚を水面に浮かせてみた。頭を左に、水面に姿を出した魚は、吻が長い。

 “ボーンフィッシュだ!”

 そう叫び、そこから急に慎重になった。
 鋭い引きを何度も耐えて、手におさまったのは44センチのボーンフィッシュ。
 “嬉しい“だけではなく、さまざまな感情が入り混じった。
 西山さん見てますか?日本でボーンフィッシュ、釣れました!

 この出会いと感動を得ることができたのは、紛れもなく夢を追った夷谷さんの1匹。そしてこの島のソトイワシの情報を発信してくれたとあるYouTuberのおかげ。
 夢は追ってみるものだと、改めて感じた旅であり、これから多くの人がチャレンジすることで、サイトへの道が見えてくるはずです。

 今回の旅はふらい人書房・阪東幸成さんに取材していただきました。いずれ誌面にて、今回の旅の様子が紹介されると思います。また、フライ関係各誌にも情報を提供するとともに私が運営するH.I.T. FILMSにおいて映像にまとめる予定でいますのでそちらもご覧ください。

ロッド:【Campanella】#8 8.6ft(プロト)
リール:【Shimano】Asquith reel 7/8
ライン:【RIO】Tropical OutBound short WF8F/H/I
リーダ―:【VARIVAS】Tapered Leader RECORD MASTER SW IGFA Class FHT20lb/12ft
ティペット:【SEAGUAR】Premium MAX SHOCK LEADER 5号/50cm

国内 ボーンフィッシュ フライフィッシング
国内 ボーンフィッシュ フライフィッシング
国内 ボーンフィッシュ フライフィッシング
国内 ボーンフィッシュ フライフィッシング
国内 ボーンフィッシュ フライフィッシング

ご興味のある方、是非挑戦してみてください!